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パーキングメータって怖いのよ

路上にあるパーキングメータ(東京だと大抵60分300円)の怖さをあなたは知っていますか? 300円払い、頑張って用事を切り上げ、65分後に戻るとしっかり駐車違反ステッカーが貼ってある。当たり前ですが有料駐車場ではないから600円払っておけば許されるというものでもない。これを「たまたま運が悪かった」なんて思ってはいけません。駐車監視員の動きを見てください。常時巡回監視しては58分後位に戻って来て、メーターが61分を指すと仕事を始め、数分後にはステッカーを貼っています。敵は確信犯なのです(犯罪じゃないけど^^;)。エリア外(駐車が禁止されている場所)にはいくらでも駐車違反の車がいるのに、そっちは管轄外なんでしょう、1日駐めても違反にならない。一方、真面目に指定のエリアに停め、真面目に60分の駐車料金300円を払った人は5分越えただけで駐車違反です。
さて、ここまで読んで「5分だって違反は違反、グダグダ言うな」と思った方も多いでしょう。そうでもないのです。話を換えてここからが本題(経験談)です。車というのはしばしば調子が悪くなるものです。バッテリー上がりや、ラジエータの不調などで修理のために停車することが多いのです。大抵の修理は60分では終わりません。これが駐車違反でしょうか?故障のある車の運転を継続する方がよほど悪質な違反です。こんなとき、警察官は必ずこう言います(今回もこう言われました)。「停めた時点で交番に連絡しておいてくれれば違反にならなかったんだけどねぇ」 -- 1時間ちょっとで移動するつもりなのに、誰がわざわざ交番まで出向いて故障の報告をして書類を作成するでしょうか? 60分後に確実に取り締まりを受けると判っていない限り、しないでしょう。普通の人間なら駐車違反のキップを切られる心配より、目の前の車の故障を直すことで頭が一杯なはずです。あるいは、張り紙に「故障で修理のため駐車しています。携帯電話番号XX」とでも書いて部品を買いに走るでしょう。そこまでしても、そんな張り紙は無視されます(されました)。たぶん駐車違反逃れの下手な小細工だと決め付けているからです。この手の悩み事相談はネット上に溢れているので体験者は相当数いるでしょう。日本では、疑わしい者は罰しないと示しが付かないということらしい。「どうやら、あなた、駐車違反したみたいなんだよね。あなたの言い分も解らないでもないけど、あなたの無実が証明できない以上、違反したと認めてくれないとこっちも困るんだよねぇ」ということか。

前置きが長くなったが、「正直に」駐車違反はして「いない」ことにすると、1週間くらいして「弁明通知書」が送られてくる。弁明する事実があるときは弁明する機会があるというわけだ。「なあんだ、弁明できるのか。」と安心してはいけません。弁明が認められるのは既に車を他人に譲渡していたなど明らかな(事務処理だけで証明できる)事実がある時だけらしい。弁明の通った件数の異常な少なさ(年に2件とか)から見て間違いないだろう。実際に弁明書を提出した私の経験では、故障のため10分オーバーしただけで、故障していたという証拠もあり、しかもそのことを(たまたま近くで事故処理していた)警察官が知っていたにもかかわらず、弁明は通りませんでした(弁明書の文面を見ると私個人が特定されるので掲載しませんが、ちゃんと記載しました)。知りませんが本来、訴訟を起こすことなく「言い訳」できる事務手続きとして「弁明」という制度が考えられたのではないでしょうか? これは法律的な記述ではありませんが、気分としては、こんな感じかな -- 誤認逮捕されて、検察官に事情を聞かれ、不起訴処分になると思ったら、「あなたも運が悪かったねえ。まあ証拠もあるんだし裁判ではきっと勝てるよ。」と言われて起訴されたような...

弁明書を送っても、まるでそんなものが無かったかのように、1か月後には事務的に「放置違反金納付命令書」が送られて来る。何故弁明が認められなかったのかについては全く教えてもらえない。ただ、命令書の最後に「弁明書を提出された方については、弁明が認められないことから納付命令を行ったものです。」と印刷がある。そして「この処分に不服がある場合には、東京都公安委員会に対し、異議申し立てをすることができます(60日以内)」となっている。「公安委員会」と言うと何か中立な組織みたいに聞こえるかもしれないが、警察である。公安委員会への異議申し立ては「警視庁交通部駐車対策課」経由なのである。そもそもパーキングメータは公安委員会が設置し、交通安全協会に管理委託された、警察の天下り構造の産物である。予備知識があれば、弁明なんて通るわけないからそんなものは出さず、最初から異議申し立てしたのかもしれないが、いい加減このへんでどうでも良くなって来る。不当に1万円徴収されるのから逃れるために使える時間と体力には限界がある(実際私は仕事が忙しかったこともありここであきらめてしまった)。とはいえ、ちょっと悔しいので、そのまま1万円払わずにほっておくと、

さらに1か月弱経って、「督促状」が来る。納付しないと「車検拒否の対象となります」と書かれているが、私の車は本当に故障して修理不能だったので既に廃車にしてあり車検は関係ない。放っておけばいいような気もするが、今後 年14.5パーセントの延滞金を取るとか、財産を差し押さえる、とかいろいろ脅し文句が書かれているので、面倒なので権力に屈して1万円支払ってしまった。あぁ、私って、ダメ国民。
ちなみに、自動車税の審査請求もそうだが、請求の途上であっても、どんどん延滞金が加算されていく現在の制度は違法ではないかと思う。こちらは単に国民の権利を使っているだけなのだから、その間にも「お上に逆らうお前が悪い」とばかりにサラ金並の延滞金が雪だるま式に増えて行くのはどう考えてもおかしい。例えば1万円が5年後には2万円以上になる。なんだかな〜、というわけで、結論は「グダグダ言わずに罪を認めれば楽になれる」という(痴漢の冤罪事件みたいな)ことのようです。

法的には「文句があるなら行政を相手取り、処分の取消の訴えを提起すればいい。何の問題も無い。」という解釈なのでしょうか。まあ誰が作った制度かも知らずに文句書いているのだけど、弱い国民の立場を完全に無視した悪習です。今って明治時代だったっけ?

駐車違反の冤罪など社会的には些細な問題なのかもしれません。しかし、私には一事が万事、に思えてなりません。(2009/9)