いろいろ工作日記その1 (2003/10)

壁内埋込スピーカー編

利用したSP
の分解前
きっかけ:2003/5 古いテレビ用のスピーカー(2本)が余ったので、サブスピーカー用に活用しようと思い立つ。これは1980年頃発売されたNationalのTV純正増設スピーカーです。まだモノラルのテレビが主流だった時代の、当時としては高級志向の製品でした(確か2本で4万円くらいした)。
スピーカーは長方形の平面スピーカーと、ごく普通の丸形スピーカーの2個。音質は期待できるものではありませんが、スピーカー本体の奥行きが薄く、壁に埋め込むには適当でした。また、幅が狭いのも好都合でした。
分解準備:箱はかなり粗悪な合板で、表面に銀色のフィルムでラッピングしてあります。中は空洞(正しく言えば綿状のシートが埋め込んであります)。フロントパネルだけは立派で、アルミか何かの金属製で、裏側から5本のネジでしっかりねじ止めされていました。壁に埋め込む場合、スピーカー取り付け後に裏からネジ止めするのは不可能なので、ネジ穴部分に両面テープを貼って摩擦を調整し、普通のスピーカーネットのように全面から押し込むようにしました(スピーカーネットの取り付け用部品は東急ハンズで売っていましたが形状的に取り付け不能だったのでこのように手抜きしました)。
分解:箱はもろい合板をホッチキスのような留め具と接着剤で固めたものなので、綺麗にバラバラにすることは不可能な状態でした。そこで、スピーカーなどの部品を取り外した後に箱の形のままいきなり鋸でばっさりと3cm厚ほどに薄くスライスしました。スライスしてできたスピーカー/パネル取り付け部をそのままの形で利用します。
壁の開口部
壁穴を開ける: 石膏ボードをカッターでくり抜いて開口部の穴を開けます。問題は開口部の位置決めです。最近の多くの住宅は4cm角程度の金属柱を30cmおきくらいに垂直に立てているものが多いので、天井裏の柱位置を測定すればおおよその場所が判ります。しかし取り付け位置の天井裏に入る道が無かったので次の手順で位置決め/穴開けをしました。
  1. 電池式の壁うらセンサーでおおよその柱の位置を見付け大体の取り付け位置を決めます(壁に針を刺して調べる道具も売られていますが、跡が残るし電線を射す危険もあるのでお薦めしません)。あるいは、近くにコンセントや電灯スイッチのプレートがあれば、それを外してのぞき込めば直接測定することも可能です。
  2. 穴の予定位置の中心にドリルなどで1cm以上の穴を開けます。その際、壁紙に穴を開けずにカッターで十字に切り広げておきます(万一マズい位置だと判った場合綺麗に埋め直すことができるように)。
  3. 開けた穴から針金を通し、柱の位置が予定通りであることを確認し、今度は正確な位置決めをします。その際、予定の位置に余計な電気配線等が無いことも丁寧に確認します(配線がある場合、保護用の金属板が埋まっている場合があるので要注意)。温水暖房の配管を切ったりすると致命的ですので。
  4. カッターナイフに定規(できれば垂直が取れるよう厚みのある板)を当て、穴を開けます。その際、サイズが心配だからと小さめに開けるのは悪い選択です(木材と違い、石膏ボードはヤスリなどで削るとまっすぐの線になりません)。最初からピッタリに切りましょう。あと、(壁紙を貼る時と同じですが)カッターナイフはその都度刃を折ってシャープな状態にして切ります。壁紙は軟らかいのでそうしないと周囲が剥がれてきてしまうからです。また、石膏ボードは両面に紙を貼ったものですから紙を切るようにカッターをすべらすと裏に貼ってある紙が剥がれて切り口がぼろぼろになってしまいます。半分ちょっと切ったら一番上にカッターの刃を奥までたたき込み裏紙の向こうまで刃が出た状態にして、あとは金槌でカッター本体を叩いて(なたでまきを割るように)切っていきます。その際力を入れすぎるとカッターが切り口を無視して曲がって切っていくので注意。
  5. これだけ注意して切ってもたぶん何カ所かは裏紙が剥がれてしまっていると思います。木工ボンドで補修します。できれば裏に薄い板をはさみボンドが乾くまでクランプで固定します。その際、ついでに切り口にも木工ボンドを塗っておけば作業中に石膏くずが落ちないので便利です。
  6. 写真のように上下左右4箇所にネジ穴があります。左側はわざと柱を少し出してネジ穴をそこに開けました。右側はネジ穴を開ける為の板を石膏ボードの裏に貼っています。
配線穴を開ける:
物入れ内部の配線穴
配線のやりかたは状況により2通りあるでしょう。
  1. 壁に穴を開けて最寄りの押入れの中などに抜き、外から見えない部分に配線する方法
  2. 一旦柱に沿って天井裏まで立ち上げ、配線したい先の天井裏から再び柱に沿って壁の中を降ろす方法
です。後者では配線のほとんどが壁内になるので美しく仕上がりますが、前者の方が工事が楽で、後の修正も容易です。今回も前者の方法でやりました。右の写真は、スピーカーの裏から物入れに穴を通して配線した部分の物入れ側出口です。そこから物入れの裏に配線を回しさらに隣の押入れに通しています。穴に入れる配線保護用の「ツバ管」はホームセンタなどで売っていますが細いものが入手できなかったのでプラスティックのパイプを切断して使いました。ポイントは配線穴を棚板の直下の位置にしている点です。これですと物入れの扉を開けても配線は棚板の下に隠れて見えないのです。
長ネジで固定網を付ける
取り付け:ここまで来れば出来たも同然、ですが実際には壁の開口部に見栄え良くぴったり収めるためにのこぎりとヤスリでの長い長い格闘がありました。この一番大変だった部分がどうにも説明できないのが残念ですが、きっと経験的にお判り頂けるのではないかと期待します。:-)
右の2枚の写真左側が、フレームをネジ止めしたところで、スピーカーを壊さないよう気をつかう作業です。
壁内配線: 押入や天井を通すところ以外は壁内に配線しないといけません。最近のマンションは天井を高くするためリビングなどの天井裏はほとんど無く、あとから配線するのはかなり困難なので、壁内を通します。
とは言ってもまともに壁紙に穴を開けていったら綺麗に戻すのが大変ですから、なるべく窓枠の影、カーテンボックスの中、などを利用して目立たないように配線します。今回配線した場所はそのような都合の良いものは何も無かったので、床上に貼ってある化粧板を剥がして、その裏に穴を開けることにしました。この板は厚みのある接着剤で壁紙の上に貼った上、細い釘で打ち付けてあります。釘は簡単に抜けますが、接着剤は取れないので壁紙ごと剥がします。この板の端は45度に切り込んであるのでそのまま手前に引っ張っても他の板に邪魔されて剥がれません。まず90度の切り口を持つ板から剥がし(写真左)、順に隣りの板を剥がしてゆきます(写真右)。接着剤が強いときは壁紙を破かないよう、予め境目をカッターで切っておくと失敗しません。板が全部剥がれたら、所々に穴を開けます。穴の開け方はスピーカー穴の場合と同じです。そして、まず針金などを配線した場所の端から端へ通し、次に配線したい線を入れたフレキ管を針金に固定し、針金を引っ張って配線します。注意して欲しいのは、最初にフレキ管を通してからあとで管内の針金を引っ張ってケーブルを通すのではなく、予めケーブルを通したフレキ管を壁に通すことです。本来は固定されたフレキ管内にケーブルを通すものですが、この場合フレキ管は固定されず壁の中にぶらぶらした状態ですから、後からケーブルを通すとねじれてゲームオーバーになってしまう危険がかなりあります。
完成: というわけで、こんな感じに仕上がりました。以前YAMAHAのアンプを買ったときに5.1chステレオなんていう聞いたことの無いものが付いていて「無駄な機能だなあ」と思っていたのに今では感激の機能になっています。無知とは恐ろしい。
音質:所詮昔のテレビのスピーカーですから、スピーカー自体の音は安っぽいものですが、ソファに座って音を聞くと意外にも良い感じに聞こえます。良い感じ、では解らないと思いますが、何と言うか、「いかにもサラウンドしてます」みたいな昔のステレオのピンポン録音のような(古い!)感じではなくて、自然に音場が広がっているのです。大迫力のドルビーサラウンド映画などを見るにはちょっと物足りない人もいるかもしれませんが、普通にテレビのスポーツ放送やドラマなどを見る分には、かなり理想に近い、疲れない音になっていると思います。ちなみにフロントスピーカーは往年の名器、YAMAHA NS-600だったりします。

天井埋込スピーカー編

スピーカーの箱メタルカバーの箱
きっかけ:2003/9 カウンターキッチンというのは便利なもので、洗い物をしながらテレビが見える。そう、「見える」のだ。自分自身の出す洗い物の音がうるさくて音は聞こえない。ならば天井にスピーカーを取り付ようという自然の発想で^^;、工事は始まった
プラン:物入れの扉が天井すれすれまで来ているので普通に売られている天井用スピーカーではぶつかってしまう。しかも天井には約30cmおきに金属の柱が渡っているのでこれより狭いものでないといけない。あちこち店を探したがこの条件に合うスピーカーを見付けることは(その当時は)できなかった。というわけで自作の道へ。
材料調達:特に音質にこだわる必要は無いので、東急ハンズで買った10cmフルレンジスピーカー(AUDIO ROMAN AR-10DX 8Ω88db 50Hz〜20kHz 1個1,950円)と、メタルカバー(ダイトー SA-13 450円)だけを購入し、あとは自宅にあった廃材を使った。木ダボは買ったかもしれない。実は一番高かったのがスピーカーコードで、オーディオテクニカのAT5S65(定価@150)をさくらやで@100で購入。(ちなみにBIC camera、ヨドバシともに@120でした)
天井全景
天井に穴を開ける:写真左に小さく見える穴が取り付け穴(R)です(Lは写真左欄外)。メタルカバー(黒)から白い部分が透けて見えないように周囲を黒く塗りました。右の長方形の穴は天井埋め込みの蛍光灯を外したところです。ここからスピーカー本体を天井裏に入れ、取り付け位置まで運びます。もちろん手が届く範囲ではないのであとあと大変苦労することになります。ちなみに天井は頭の上にあるので(当たり前)、円形の穴をまともに開けようとすると首が痛くなるばかりで正確にできません。というわけで丸穴開けの秘技(?)を公開
  1. 開けたい穴のサイズより直径1mm程度小さく切った円形のボール紙を木工ボンドで天井の穴を開けたい場所に剥がれないように貼ります。
  2. 石膏くずが落ちるので以下の作業は必ず眼鏡(できれば作業用のもの)を着用します。
  3. 乾いたら細いドリルでボール紙の周囲を順になぞって穴を開けてゆきます。これで苦労することなく正確な円が描けます。万一勢い余ってもドリルはボール紙に当たるため壁紙を破く心配が無いからです。ドリルの穴と穴の間隔はあまり小さくしない(3〜5mm程度にする)ことに注意します。あまり近づけると石膏ボード裏側の紙が剥がれてしまうからです。また、天井裏には電気の配線や給湯システムの温水配管などが所狭しと通っているのが普通なので、ドリルの刃で配線を傷付けないよう、あらかじめ天井裏を良く覗いておきます(というより正しくは予め覗いた上で穴開け位置を決めるのですが)。天井裏が覗きにくいときはビデオカメラを使うといいでしょう。
  4. 最後にカッターでドリルの穴に沿って切れば簡単に抜けます。「引廻しのこ」があれば作業は一層簡単ですが、その場合でも最初に壁紙だけはカッターで切っておきます(そうしないと円の外側の壁紙が破れてしまうので)。
  5. 切り口がなめらかにならなかった部分がある場合、ヤスリで削るとボロボロになるのでカッターナイフで削る方がいいでしょう。
  6. 切り口から石膏くずが落ちてくるとあとあとの作業の妨害になるので、天井裏を掃除機で良く掃除した上で、切り口に木工ボンドなどを塗ってくずが落ちないようにします。
制作途上
スピーカー本体の制作:普通のスピーカーと異なり、スピーカーを外に出すのではなく、スピーカーを下にして天井裏に置く形になるので、写真のようにスピーカー部分が1cm程引っ込んだ形にしてあります。
必要なネジ穴は、スピーカー本体を取り付けるための4つの穴、メタルカバーを取り付けるための4つの穴(石膏ボードにはネジがきかないので、スピーカーの箱までネジを出す、そして固定用の2つ(以上)の穴になります。メタルカバーを取り付けるのだから固定用は不要ではないかと思われるかもしれませんが、メタルカバーのネジだけで固定してしまうと、将来天井の壁紙を張り替えるためにメタルカバーを取り外すと、スピーカーボックスまで外れて元に戻せなくなるから別に(2度と外さない)固定ネジが必要なのです。ここで注意が必要なのは、取り付け時には天井穴から見えているのはスピーカー本体の振動部だけですから、ネジ穴にうまくネジを合わせるのは至難の技です。ネジ穴の最初は少し広めになるよう下穴を開けます。
フルレンジのスピーカーなのでコイルなどの部品は何もありません。ただスピーカーケーブルを端子に半田付けするだけです。
位置決め針金
位置決めの苦労:繰り返しますが、スピーカーボックスに手が届かない状態でネジ穴にうまくネジを合わせるのは至難の技です(というより不可能です)。そこで写真のように位置決め用の長い針金を固定してメタルカバー取り付け用の穴に通しておきます。そしてこの針金を天井裏から天井のメタルカバー取り付け穴を通し、針金を引っ張れば、箱に触れなくても(回転はしますが)取り付け位置に合わせることができます。具体的には、針金を引いた状態でスピーカーを破らないように注意しながら多少箱を浮かしてメタルカバーのネジを一本付けます。これで2箇所が固定されるので回転しなくなります。針金は不要になりますが、抜くことはできないので切断して細い棒で奥に少し(板の厚みの半分)だけ押し込みます。これで写真のような形に針金が曲がっている理由がお判りと思いますが、片側はネジ止めされ、もう片側は穴に少し差さった状態になるので、残った針金が音に悪い影響を与えないのです。でも、あとで考えたら、ネジ止めせずに別のネジ穴から出しておけばあとで引き抜けるし、固定も楽でした。失敗。まあいいか。
型紙の写真
穴開けノウハウ:天井にネジ穴を開けるのに、直接定規をあてて位置決めをしても、首が辛いばかりで、なかなか正確な位置に決められません。そんなときは急がば回れということで、写真のような型紙を取ってからやればとても簡単です。開口部の丸穴を実際にボール紙にくり抜き、ネジ穴を開けたい場所にキリで穴を開けておきます。この型紙となるボール紙を弱粘着テープ(マスキングテープなど)で天井にまっすぐ貼り付け、ネジ穴にドリルかキリで印を付けてゆくだけです。今回のように、取り付け部品側のネジ位置が予め決まっていて変更できないような場合、4つの取り付け穴がゆがんでしまったら全然取り付けできなくなるので、特にこの方法は効果的です。
もちろん、この方法は天井に穴開けする場合だけでなく、定規の当てにくい壁のコーナーや床近くなどに穴開けするときにも便利です。
天井裏から物入れ1へ物入れ1から物入れ2へ
天井裏配線:まず天井裏から物入れ1へ降ろし、次に隣の物入れ2(アンプに近い方)に送ります。直接天井裏から物入れ2へ降ろせばよさそうなものですが、物入れ2の上には梁があって通らないため一旦物入れ1を通すのです(写真でAの位置を比較すると物入れ2の天井の方が低いことが判ります)。梁にはどこかに通線用のフレキ(管)が埋め込まれているはずですが、運良くそれを見付けたとしても向こう側がどこに出てくるのか見えないので、利用できることは稀でしょう。
スピーカーコードは、黒いフレキ管(TLフレキ TCN-10S)の中に通しています。天井裏は補強用の鉄板などが剥き出しになっているので、コードを通して引っ張ると被覆が破れる場合があるだけでなく引っかかって作業が困難になるので、ケチらずにフレキ管を使います。ちなみに通線口はテープ巻きをするのをお忘れなく(虫などが入るのを防ぎます)。
完成写真
天井スピーカー(右)

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