アースソフト PT1の使い方 (後継機PT2の使い方は最後に)
ご注意: B-CAS機能をネットワーク越しに使うnetcasや、B-CAS格納情報の視聴期限を不正に伸ばすなど、不正を行う情報が世の中には氾濫していますが、これら不正な手段は使わないという前提で本ページは記載されています。あくまでB-CAS設計時に想定された限定受信方式をPT1/PT2で素直に(合法的に)利用する方法を書いています。不正行為の指南は一切行いませんし、その手の質問にもお答えしませんので、誤解の無いようにお願いします。
本ページの記載はPT1の発売当時から数年頃のPC環境を基準に書かれたものです。今となっては不要なパッチ等もあると思いますのでご注意ください。
まえがき
PT1は地上デジタル(UHF)とBS/CS110デジタル放送の各ダブルチューナ(計4チューナ)である。ただし、ビットストリームを取得するPCIカード(バルク品)に過ぎない。カードのドライバこそメーカーから公開されているが、ストリームの復号ソフトも、復号に必要なB-CASカードも、そのリーダも付いていない。もちろん、録画ツールや視聴ソフトも付いていない。全部自分で用意する必要がある(と書くと大変そうだが、単にフリーソフトをかき集めればいい)。
ただ、全体をまとめたディストリビューションを作ってくれるボランティアがいるわけではないので、かき集めたライブラリの「動くバージョンの組み合わせ」は自分で発見し続けなければならず、類似商品
Friioよりさらに面倒だ。特にダブルチューナでの同時録画は困難だ。
なお、執筆時点(2009/3)では、有料放送に限らずほとんどの放送は暗号化されておりB-CASカードを使わないと復号できない。例外は、CS110の無料チャンネルだけである(含有料チャンネルの無料開放デー)。よって、ここでは放送は暗号化されているものとして使い方を説明する。
カードリーダのセットアップ
B-CASカードリーダは何でもいいのだが、動作実績のあるものを選ぶと確実。NTTcomのSCR3310を使った。これは住基カードリーダにもなるので、オンライン確定申告などにも使えて便利。ドライバは
メーカサイトより取得。
なお、B-CASカードは普通のICカードと異なり裏面に端子があるので、裏返しに挿さないといけないことに注意。
PT1のドライバをインストール
アースソフトの
ダウンロードページからドライバ(
PT1-Windows-Driver)をダウンロードしてインストールする。SDKも必ず使うことになるので一緒にインストールする(
PT1-Windows-SDK)。
Windowsの一部バージョン(Vista/7の64bit版?)では、デフォルトで署名の無いドライバは組込禁止なので、そのままでは動かない(対処法は PT1/PT2ドライバに署名の無い問題を解決するには を参照)。(アースソフトのドライバ2.1から署名が付いたのでそのまま使える)
インストール中はウイルスチェッカも止めておく(署名無しドライバを拒否するものがあるらしい)。
インストールが完了すると、デバイスマネージャ画面でPT1とSCR3310が確認できる(右図)。
情報源:
録画/暗号解除/リアルタイム再生等の一通りのソフトは、
DTV関係ツールダウンロードから入手できる(またはこの退避先より)のでこれに感謝しつつ注意深く利用させてもらうことにする。使い方は以下に詳述する
視聴ソフトのインストール
- Microsoft Visual C++ 2005 SP1 ランタイムライブラリ Microsoft Visual C++ 2005 Service Pack 1 再頒布可能パッケージATLのセキュリティ更新プログラムが入っていなければ入れる(後述のTVTestが必要とするとTVTest.txt(やTVText.chm)に書かれているため)。TVTextがx86版ならばvcredist_x86.exeを、x64版の場合は vcredist_x64.exe をダウンロードすることに注意
TVTest
をどこかで探してインストールする(TVTest_x.x.xx.zip)。展開して出来たTVTest_x.x.xx
をそのままProgram Files
に置く。そのフォルダにあるTVTest.exe
が直接実行できる。配布ソフトにはいくつかのプラグインが同梱されているが足りない機能は以下追加する。同梱されている BonDriver_UDP.dll
は勝手にUDP通信をして気持ち悪いので消しておくといい。
- DTV関係ツールダウンロードからPT1用BonDriver(BonDriver_PT1_xxxx.zip)を入手し、展開して出来た
BonDriver版/BonDriver_PT1.dll
をTVTest.exeと同じフォルダに置く TVTestの環境設定で指定した"ドライバの検索フォルダ"に置く(例:C:\PT_Drivers\
)。
- ここまででリアルタイム視聴ができるようになる(例えば「チューニング空間」をUHFやBSにすれば、「チャンネル」で選択できる)。ダメなときは設定画面でドライバが
BonDriver_PT1.dll
、カードリーダがスマートカードリーダに指定されていることを確認。CS110の無料チャンネルは暗号化されていないのでカードリーダ無し(B-CAS無し)で視聴でき、判断材料になる。
- 複数チューナを同時に使うにはBonDriver_PT1-ST(-shm)のドライバを使えば動くらしいのだが、動作確認できていない(1つ起動しただけでhang upする)
- 使い方
- 「設定」の「チャンネルスキャン」をやると表示されるチャンネル番号が放送曲名になる。日中やらないと放送されていない局(放送大学など)が入らないので注意。
TVTest.ini
に指定できるVHF,CATV,BS,CSのうち不要なものを削除(EnaleVHF=0, EnaleCATV=0
)するとチューニング空間選択メニューに表示されなくなる
- 「設定」の「録画」で保存先フォルダのデフォルトを指定
- TVTestの簡易予約録画機能では、「現在のサービスのみ録画する」にチェックを入れないとtsファイル全体が記録されるので、例えばCS放送のSD画質チャンネルが5つくらい入ったりする。その場合、後から必要チャンネルを分離しないといけない。TsSplitterを使うと「CS放送の分割を行う」機能にch番号の指定ができて便利(ch番号を指定しなければ全てのchが別ファイルで出力される)。
- ちなみに、PT1とは関係無いけど、BonDriver_PT1.dll の代わりに、BonDriver.dll (
BonDriverxxxx.zip
)を入れれば、TVTestでFriioが使える(動作確認済)。
録画予約
録画予約はTvRockなどのGUIなフリーソフトでやる人が多いようですが、私はTVTestのコマンドラインで番組単位で指定しています(例: TVTest.exe /d BonDriver_PT-S.dll /sid 308 /reccurservice /noview /nodshow /rec /recdelay 50(秒) /recduration 3600(秒) /recexit /recfile filename
) - ( /sid
のところは /ch
でも指定可) (/recduration 1h10m30s 形式も可) (ファイル名指定は%date%などのマクロも使える-TVTestのヘルプ(.chm
)参照)。このコマンドをバッチで記述すれば複数番組録画予約もできます(当たり前だけど)。
その他の必須ソフト
- MULTI2復号ツール(Multi2Decxxxx.zip)をインストール。暗号化されたtsファイルの復号をしたり、tsファイルのエラーレートをチェックしたりできる。当然だが復号時はB-CASカードが挿入されている必要がある(有料チャンネルについては契約済みB-CASカード)。つまり、B-CAS無しで録画したtsファイルを、あとから契約済みB-CASカードで復号することができる(ただし復号できるのは契約期間に放送されたものだけだという噂)。この性質は、CS放送を視聴するのは普段テレビでだが録画はPCで、という場合に大変便利。複数の有料番組を同時録画したいときも便利。
- tsファイルを音声と映像に分離するソフト(BonTsDemuxdddd.zip)をインストール。TMPGencやTSDemuxなどの著名ソフトでも分離できない厄介なファイルが多く存在するが、それらもうまくいき有益。
- tsから不要データを削除するには、tsselect か TsSplitter を使うのがいい(昔はtsの構造参照にTSReaderを使ったりもした)。放送中データであれば、TVTestの機能「ストリームの情報」でも参照できる。
ドライバ、ソフトのキャッシュ
BS/CS110有料チャンネルの受信
既に契約済みのB-CASカードがあればそれを使うだけ。新規に契約する場合は(テレビと違って)ただ放送を受信していても契約情報はB-CASカードには書き込まれないので意識的に書き込まないといけない(視聴ソフトの仕様や設定によるが)。例えば以下どちらかの方法でB-CASに書き込む。
- テレビにB-CASを挿して受信状態にしておく
- 録画(tsファイルの保存)をするとその中に契約情報も含まれている(設定によるが)ので、Multi2decを起動して、そのファイルを使って「契約情報の更新」機能で書き込むことができる。(原理的にはできるが契約情報を得るのが面倒なのでオススメしない)
なお、PT1/PT2/PT3やFriioを使っても有料放送のタダ見は合法的にできないので念のため。B-CASカードリーダに正規に契約されたB-CASカードを挿し、その暗号機能を用いて復号用の鍵を取り出すのが正しい姿である。
Remark
PT1に限ったことではないが、録画したtsファイルが再生できなかったり1seg部分しか見えなかったりすることがしばしばある。そんな時、Multi2Dec
で再度暗号解除を行うと直ることが多い。
tsファイルがmplayerでは正しく再生できるのに、(古いバージョンの)TMPGenc MPEG Editor や TMPGenc XPress ではプレビューも編集も正しくできない(カットすると極端な音ズレが発生するなど)場合がまれにある(音声フォーマットの切り替え時にエラーになっているのか??)。そんな時は、BonTSDemuxで音声/映像分離して、TMPGenc系のMPEGツールでマージすると直る場合もあるし、ダメな場合もある。MurdocCutterというtsカット編集(GOP単位)ツールでゴミ部分をcutすれば直ることが多い(cutしなくても読み込んで書き出すだけで直るかも)が、直っても音ズレしていることもある。しかし、ここは素直に最新版のTMPGencシリーズを購入することを強くオススメする。
PT2の使い方
その後、後継機のPT2を入手したので、PCをリプレイスしたついでにインストールしてみた(2010/2)。手順はPT1と同じだし、最近はネット上の解説記事も増えたので、特に書くことも無いが、誰かの参考になるかもしれないので、手順を備忘録として記載しておく。「動く組み合わせ」という意味で、実際にインストールしたバージョン番号も記載しておく(ので本ページをあなたが読んだ時点での最新とは限らないので注意)
環境:Windows Vista 64bit, PT2 rev.A(ドライバ2.0), Core2 Quad
- PT1関連のドライバや、古いSDKがインストールされていれば全て削除する(競合することがあるため)
- B-CASカードリーダのドライバをインストールし、B-CASカードを挿しておく。PT2とアンテナケーブルを接続しておく。
- アースソフト公式ドライバ(
PT2-Windows-Driver-200.exe
)と公式SDK(PT-Windows-SDK-200.exe
)をインストール -- 各種フリーソフトの動作はSDKのバージョン依存の物が多いことに注意。ただしドライバに署名する(後述)場合はドライバのインストールは後回し。
- Vista64bitだと署名無しドライバは動かないので、とりあえずwindows boot時にF8を押して「ドライバ署名の強制を無効にする」を選択する。詳しくは PT1/PT2ドライバに署名の無い問題を解決するには を参照
- (必要無いけど、公式ドライバと一緒に公式サンプル(
PT-Windows-Sample-200.zip
)を入手し、Sample.exeで動作テストしてみるといい)
- TVTest 0.6.5 (
up0475.zip
) を入手し、展開したものを "C:\TVText_0.6.5"等の名前で置く。(普通に "C:\Program Files (x86)\" に置くと設定ファイルが書き込めないなどで面倒)
- Visual C++ 2005 SP1のランタイムライブラリ(上記説明も参照のこと)を入れる
- 各種の追加ライブラリを置くためのフォルダ
"C:\PT_Drivers"
を作成する(パス名は例)。
- PT2用BonDriver (
BonDriver_PT2_0100.zip
) を入手し、展開した BonDriver版\BonDriver_PT2.dllを\PT_Drivers
に置く
- TVTestを起動し、設定⇒一般でドライバの検索フォルダを
"\PT_Drivers"
に指定し、TVTestの再起動後、ドライバとして BonDriver_PT2.dllを選択、「スマートカードリーダ」を指定する。
- 地デジ、BS、CS110が視聴できることを確認(チャンネルスキャン前でもデフォルトの設定で映るのがあるはず)
- PT_Driversフォルダに
TVTest.ini
が新規作成されるので、その中の EnableCATV等の設定を適宜修正する
- 前に書いた、チャンネルスキャン、録画フォルダの指定、など好みの設定をする。
-
複数チューナを同時に使うため、BonDriver_PT-ST 人柱版 (
up0245.zip
) を入手し、Readme.txtに従い必要なファイルを\PT_Drivers
フォルダに置く。(元のドライバ BonDriver_PT2.dll は1番組しか視聴できないが)ここで置いたドライバ(SはBS/CS, Tは地デジ)を選択することで、複数(最大4番組)同時に視聴できる。
ドライバの選択は環境設定や、起動後の設定だけでなく、起動時オプションでもできる(例: /d BonDriver_PT-S.dll
)。なお、例えば、S1 と S2 は明示的に指定することもできる(PT-{S0,S1}のファイル名で切り替える)が、BonDriver_PT-S.dllを選んでおけば自動的に空いた方を使ってくれる(PCIカードのS1,S2表示が、ドライバのS0,S1に対応しているのに注意)。要するに TVTest.exe /d BonDriver_PT-S.dll
をリンク先にしたショートカットを作っておけば便利ということ
ちなみに、設定で「複数起動を禁止する」にチェックがあると、ドライバを分けた場合でも複数起動されなくなるので注意
お約束の4番組同時表示が右図。見ての通り、各ウインドウが独立にリサイズできる。この位の大きさだとほとんどカクカク感も無い。
- EPGを使うため、EpgDataCap人柱版9.44 (
up1006.zip
) を入手し、EpgDataCap2.dll
を \PT_Drivers
フォルダに置き、TVTestのEPGメニューが機能するようになる(TVTestの設定でパスを指定する)。追記:TVTestには「EpgDataCap.dll/EpgDataCap2.dllは使用しなくなりました」と書いてある(確認中)。
- (補足1)PT1を使用する場合、古いBonDriver-PT1ではTVtestを起動すると例外イベント「SDK_EARTHSOFT_PT1.dllをロードできません」というエラーになる。Windows\SysWOW64\にある
SDK_EARTHSOFT_PT1_PT2.dll
のファイル名をSDK_EARTHSOFT_PT1.dll
にリネームすれば回避できるが、むしろ新版のBonDriverを使って回避すべき。(とりあえず面倒臭い時はリネームではなくコピーしておくという手もある)
- (補足2)その後公開された新しいドライバv2.1(署名付き)でも動作しました(Windows 7 64bit, PT1(ドライバ2.1), Core i7, TVtest 0.7.17(32bit版), BonDriver_PT-ST(人柱版3 2011/1/16)。BonDriverが古いと前記補足1の問題が出ることに注意。ちなみに、新しいTVtest 0.7.23 は新しいBonDriverとセットでないと動作しませんでした(まあ当然か)。
- (補足3)Windows updateすると、mpegのデコーダが無いというエラーでTVtest0.7.23が起動しなくなる場合がある(Microsoft DTV-DVD Video Decoderが使えなくなるため)。対策としては、別のデコーダを入れる(PowerDVDをインストールするとか)が簡単です。作者公開のTVtest0.7.23fixもあるらしいですが私は入手できていないので不明です。
- (補足4)(最新版のTVtestを使っているのに)BS拡張チャンネル(BS17〜BS23)など新しいチャンネルを見ようとチャンネルスキャンしても見えない、
TVTest
フォルダにあるPreset_BS.ch2
定義を更新して「プリセット読み込み」しても見えないことがある。それはたぶん、使用中BonDriverが対象周波数帯の古い定義を見ているためで、BonDriverのあるフォルダのBonDriver_PT-S.ChSet.txtに新しいエントリーを追記した上でチャンネルスキャンすれば直るはず。
BS拡張チャンネルの受信
2011/10に開始されたBS拡張チャンネルを受信するには、TVTest_0.7.22以降(*)と、比較的新しいBonDriverを入手した上、視聴に必要な周波数等の指定をBonDriverのチャンネル定義ファイルに書く必要がある("チャンネルスキャン"しただけでは見付からない)…と言うより既に公開されているので拾えばいい。
(*)チャンネルのプリセットを BonDriver のチャンネルと照合して割り当てられる
TVTest_0.7.23ならば、普通はチャンネルスキャンするだけで良い。上記「補足4」も参照のこと。
オマケ
- tsファイルがまともに再生できるソフトは意外と少ない。TVTestでtsファイルを再生する場合は、BonDriver_File プラグイン(BonDriver_File+TVTestPlugin(1.7.6))をインストールする(説明書に沿って.dll等をPT_Driversに、.tvtpをTVtestのpluginに置く)。使い方は、dllを指定するとファイル選択ダイアログが出る。さらに、スライダなどのコントロールを表示するには、TVTestの「プラグイン」メニューからBonDriver_File Control を選ぶ。
- TVTestで録画するとき、スクリーンセーバ起動中だと「BonDriverの初期化ができません」というダイアログが出て止まってしまう。これを防ぐには起動オプションで
/nodshow
を指定すれば起動時に DirectShow を初期化しないので ad hoc に解決できる
- TVTestでさかのぼり録画したい時、「設定」メニューで「ステータスバーでの録画開始の動作」を「さかのぼり録画開始」と指定しただけでは何故か設定されない。さらに録画のツールバーで「さかのぼり録画を有効にする」をチェックしておけば有効になる。
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