いろいろ減衰測定(TVアンテナ配線)

アンテナケーブルや分波器にはピンからキリまであり、どのくらい高価なものを買うべきか迷う。というわけでいろいろ測定してみました。

予備知識:アンテナ線の種類

ケーブル品番の見方
2,3,4,5,7ケーブルの太さ(3:5.4mm, 4:6mm, 5:7.4mm, 7:10mm)。屋内配線では通常5を使うが、テレビ周りなど短距離では取り回しに便利な(細い)4や3を使うこともある。ビルの共聴設備では7も使われる
Cインピーダンス75Ω。テレビではこれしか使わない。ちなみに昔の平行フィーダー線は300Ωや200Ω
F,2芯線の外側にある絶縁物の種類(Fは発泡ポリエチレン, 2はポリエチレン。Fが良く使われる
V,B,BD,BN編線組の種類。Vは編線組が一重, Bは編線組の内側にアルミ箔を巻いている。BD,BNならさらに外側にもアルミ箔を巻いている。BS対応には最低でもV, できればBを使いたい。BS/CS対応にはBを使う。BD,BNは将来のCS拡張の2600MHzに対応しているがあまり普及していない。
注:5CFBは古い5CFV等と比べ外観の太さは同じだがシールドの分内芯が太い。古い5CFV用接栓(φ5.1位)を使うと、器用に扱ってもシールドを中に押し込んでしまう場合が多く、外からカバーできないので性能が落ちる。2倍位高価だが5CFB用(C15形)接栓(φ5.2位)を買う必要がある。予算と目的に合わせてFBかFVを選びましょう。
要するに家庭用には 5CFB(推奨), 5CFV, 4CFB が主に使われます。
これらケーブルの性能(減衰量)に仕様上の規定はありません。そもそもテレビ用同軸ケーブルは「通信衛星放送受信システムの伝送路として1800MHzまで使用可能」と規定(JIS C 3502)されているだけだからです。CS放送の帯域をカバーすることはそもそも保証外なのです。衛星放送受信用同軸ケーブルの減衰量は実測値をベースとした下記参考値が採用されます(もちろん参考に過ぎません)。
単位: dB/km, 標準減衰量はJEITA「デジタル放送時代の受信システム」より20℃の値
周波数(MHz)標準減衰量実測値長いケーブルを買うことがあったら測定しましょう
S-5C-FBS-7C-FB
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つまり、CS110度放送(スカパー!e2)のND24までの受信を想定すれば、S-5C-FBで20mにつき7dB程度の減衰で済むので、アンテナからテレビ1台に直結であればブースターの使用は不要なことがほとんどでしょう。

予備知識:地上デジタル放送チャンネル (東京地区)

測定1:2008/12 共聴アンテナ(UV+BS+CS+スカパーSD用ブロックコンバータ) 1分間Friioで測定し最高/最低(dB)
測定2:2008/12 共聴アンテナ(UV+BS+CS) ブロックコンバータ取り外し工事後、つまりスカパーSDを廃止しBS拡張/CS110を導入した後の測定
測定3:測定2で、さらに雷ガード(APC P6V-JPRF)を使った場合
物理
番号
中心周波
数(MHz)
放送局と
リモコンID
送信所測定1測定2測定3コメント
14479MHz(MXアナログ)東京タワー廃止
16491MHz(放送大アナログ)2012/10〜東京MX(9)スカイツリー
18503MHzテレビ神奈川(3)三ツ池公園(7.5/7.0)29.1/28.128.3/26.0そのまま
20515MHz東京MX(9)東京タワー28.2/25.026.1/25.025.6/24.12012/11減波、2013/3廃止
21521MHzフジテレビ(8)28.2/24.828.5/27.728.4/25.52013/1頃〜スカイツリー
22527MHzTBS(6)27.4/24.728.3/27.128.3/26.6
23533MHzテレビ東京(7)28.3/26.028.9/28.029.2/27.7
24539MHzテレビ朝日(5)28.8/25.529.0/28.028.5/26.1
25545MHz日本テレビ(4)27.8/24.929.1/26.328.8/25.7
26551MHzNHK教育(2)27.5/25.029.7/28.329.3/27.0
27557MHzNHK総合(1)26.9/25.229.5/28.029.2/26.5
28563MHz放送大学(12)28.4/25.629.4/28.029.2/25.9
42647MHz(TVKアナログ)三ツ池公園廃止
測定1=>測定2工事後コメント: UU混合器を交換して18ch(TVK)を受信した影響か、20ch(MX)のレベルが下がっているが問題無い程度。UHFアナログは測定器が無かったが画質は向上した(単に混合器が新品になった影響か?) 測定2と測定3の比較: 雷ガード(APC P6V-JPRF)を使った場合、最高値には影響が小さいが最低値には2dB程度の低下が見られる。デコードエラーも30分に1回程度起こり、画面で感じるレベルのブロックノイズも1〜2時間に1回程度起こる。ノイズを拾いやすくなっているのか? このため、録画時には使えないようだ。

予備知識:BS/CS放送チャンネル

測定0:自宅パラボラアンテナ(BS+CS) ブースター無し、当然分波器不使用
 物理
番号
BS-IF中
間周波
数(MHz)
チャンネルRemark測定0測定1測定2測定3
BSBS11049.48BS朝日(151)[Full HD], BS-TBS(161)[Full HD]16.04/16.0017.44/17.3818.32/18.2418.09/17.29
BS31087.84WOWOW(191)[Full HD], BSジャパン(171)[Full HD]15.92/15.8617.61/17.5518.28/18.2318.15/18.09
BS51126.20WOWOW-1[Full HD], WOWOW-2[Full HD]旧WOWOWアナログ(〜2011/7)----
BS71164.56スターCH+[HD], スターCH-C[HD], アニマックス[HD], ディズニー・チャンネル[SD]旧NHKBS-1アナログ(〜2011/3)----
BS91202.92BS11(211)[HD], TwellV(222)[HD], スターCH(200)[HD]旧NHKアナhi(〜2007)16.85/16.7818.07/18.0018.47/18.4218.43/18.33
BS111241.28BS-FOX[HD], スカチャン804[HD,無料?], 放送大学[HD,無料]旧NHKBS-2アナログ(〜2011/3)----
BS131279.64BS日テレ(141)[Full HD], BSフジ(181)[Full HD]16.41/16.3512.57/12.4018.78/18.7418.69/18.57
BS151318.00NHKBS1(101)[Full HD],NHK BSプレミアム(103)[Full HD]16.07/15.9816.08/16.0218.29/18.2718.22/18.12
BS171356.36難視聴対策ch[SD](〜2015)BS拡張
(2011/10〜予定)
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BS191394.72グリーンCH[HD], J Sports 1[HD], J Sports 2[HD]----
BS211433.08洋画★シネフィル・イマジカ[HD], J Sports Plus[HD], J Sports ESPN[HD]----
BS231471.44釣りビジョン[HD], 日本映画専門CH[HD], D-LiFe[HD,無料]----
CSND21613237, 239, 30615.25/15.19(6.18)17.30/17.2217.24/17.15
ND41653100, 194, 256, 312, 322, 331, 33415.19/15.10(3.10)16.92/16.8816.94/16.83
ND61693221-224, 238, 292, 310, 311, 34315.20/15.14(6.40)17.31/16.8916.82/16.72
ND81733055(ショップチャンネル)14.96/14.92(8.61)17.69/17.6117.30/17.22
ND101773228, 800, 801, 80212.68/12.60(2.87)14.03/13.9513.59/13.49
ND121813260, 303, 323, 324, 352, 353, 354, 36115.36/15.32(6.07)18.10/18.0516.81/16.66
ND141853251, 252, 253, 254, 25515.34/15.29(6.21)17.89/17.8616.42/15.75
ND161893259, 290, 305, 333, 342, 80315.13/15.07(1.99)17.91/17.8716.49/15.78
ND181933240, 262, 31415.83/15.75(2.22)17.36/17.3214.20/13.89
ND201973258, 302, 332, 340, 34115.62/15.53(2.10)17.06/16.9612.29/12.02
ND222013160, 161, 185, 293, 301, 304, 325, 330, 35114.84/14.77(2.11)17.00/16.9313.73/13.60
ND242053257, 291, 300, 320, 321, 35015.96/15.86(5.94)17.59/17.5111.50/11.30
注:赤色(ch160, 800)はスカパー!推奨の受信確認チャンネル(ND10は送信出力が低いのか?)
測定1=>測定2工事後コメント: 何故かレベルの低かったBS13(141,181)が改善した(交換したBSアンテナに劣化があったのか??)。
測定0(自宅アンテナ)と測定2(共聴アンテナ)の比較: 共聴アンテナではブースターのある分レベルが高いが結果はほぼ同じ。ND10だけややレベルが低いのも同じ。
測定2と測定3の比較: 雷ガード(APC P6V-JPRF)を使った場合、ND16以上からレベルが下がりND24ではぎりぎり受信できるレベルしか出ない。CS放送には使えないと考えるのがよさそう。ちなみに、別の場所で使っていた同型番製品では、ND20でブロックノイズが出てND22,ND24は全く受信できなかった。

測定

実際にテレビチューナを接続してデジタル放送信号の減衰を調べてみました。分波器の製品別性能などを比較するつもりだったのですが、有意なデータが得られなかったので公表しません。判ったこととしては、

BS/CS110アンテナ設置

BS/CS110アンテナ設置方向(水平方向)は、東経110度なので、日本(140度前後)では南(やや西)になります。周りの家を見ればBS/CS110アンテナ(110度)と、それよりやや東向きのスカパーアンテナ(124/128度)が沢山立っているはずなので、前者(西寄り)に向きを揃えれば良いことが判ります。(右図は衛星配置図 by八木アンテナ(株))

都心なのにスカイツリーの東京MX(物理16ch)が受信できない人はここを見ろ

まだアナログ放送が残っていた時代にTVアンテナ工事をした人は、旧アナログ放送(MX 14ch, 放送大学 16ch, TVK 42chなど)を減衰させるフィルタが入っているはずです。このうち、16chはスカイツリー移行後の東京MXが使う周波数なので、フィルタを外さないと東京MXが映らない可能性が極めて高いです(従来の東京タワーからの電波は20chなのでフィルタが有っても映っていたはずです)。フィルタは、「UHFノッチフィルタ」という減衰専門のフィルタが入っている場合と、U/U混合器などの機能の一部としてフィルタが入っている場合があります。前者の場合は取り外すだけですが、後者の場合は調整スイッチかボリュームを見付けて調整する必要があります(屋外用の場合、調整スイッチ等はケースの中にあるので蓋を開けて調整します)。写真の例の場合は、16ch減衰量指定のスイッチを0dBにすればOKです(この製品(YAGI UDM-D135B)の場合は0dBに指定するとボリューム位置は関係ありません)。