記者2名がYahoo! BBを体験
5Mbpsに喜び,250kに落胆
 (08/10/2001)
 月額2280円(回線重畳型,ADSLモデムとスプリッタのレンタル料金を含まず),最高8Mビット/秒を公称するADSLサービスYahoo! BB。高速かつ安価を武器に,2001年8月8日時点で数万人がすでに開通したという。本誌記者2名もさっそく申し込み,自宅でYahoo! BBのブロードバンドを体験した。

 まず最初に,東京都板橋区の板橋局が収容局のケースをお伝えしよう。予約受付初日の2001年6月20日0時過ぎに予約し,正式に申し込んだのが7月3日。この時点では開通までそれなりの待ち時間があるものと構えていた。

Yahoo! BBが提供するADSLモデムとスプリッタ
 7月20日,机上調査が終了しNTT東日本板橋局に工事を申請した旨を伝えるメールが着いた。7月27日,帰宅すると小包が届いていた(写真)。Yahoo! BBのWebサイトで,工事予定日を確認する。7月29日が工事予定日になっていた。

 7月30日,Yahoo! BBからメールが届いた。「お客様につきましては,サービス提供エリア内のお申込み順により開通予定が8月中旬となりましたのでお知らせ致します」とある。どうやらユーザのステータス管理に混乱を来していたようだ。追って「誤送信のお詫びと無料期間延長のお知らせ」メールが届く。

 2001年7月30日,ヤフーとビー・ビー・テクノロジーはYahoo! BBの本サービス開始時期を1カ月延期すると発表した。当初は7月末までを試験サービス期間とし,8月1日から本サービスへ移行,課金する予定だった。現在のところ,本サービスの開始は9月1日を予定。ブロードバンド・コンテンツを集めたサイトだけ,予定通り8月1日に開設された。

 7月30日夜,電話回線とADSLモデム,パソコンを自力で配線した。付属のマニュアルは非常に簡素なものだったが,難なく配線できた。ADSLモデムのACアダプタをつなぐと,ADSLのリンクが確立したことを示す「WLK」が点灯した。完了を知らせるメールはなかったものの,すでに工事は終了していたようだ。

 最大の関心事は,実際の速度だった。Yahoo! BBが採用するAnnex Aは,ISDN回線の干渉に弱く,速度が出ない可能性が指摘されていたからだ。収容局からの距離は地図上の直線距離で900m。距離による信号の減衰の影響は少ないと見られる。500MHz動作のPentium IIIを搭載したノート・パソコンを使い,回線速度のベンチマーク・サイト「SPEED TEST」(http://member.nifty.ne.jp/oso/speedtest/)で測定すると,5回の測定の平均値で約5Mビット/秒といううれしい結果が出た。時間は0時過ぎ。インターネットが混雑している時間帯に当たる。Yahoo! BBは,平均で下り2M〜4Mビット/秒の速度が確保できるようにバックボーン回線を構築しているという。

 これに対して,東京都練馬区の大泉局が収容局だったケースは悲しい結果になってしまった。250kビット/秒程度の速さしか出なかったのである。接続したのは,433MHzのCeleronマシン。ウイルス対策ソフトなどの常駐ソフトは何も使っていない。収容局からの距離は,地図上の直線距離で約2.7km。距離が長いとはいえ,あまりにも遅すぎる。実際の配線長やISDN回線の影響も考えられる。しかし,現在のところ原因を特定できていない。

サポート体制に大きな不安

 いったんは接続できるようになったYahoo! BBだが,くしくも2名の記者とも8月2日ごろから接続が途切れ始め,ついにはまったく接続できなくなってしまった。何らかの障害が発生しているようだが,原因が分からない。ADSLモデムをリセットしたり,ADSLモデムとモジュラ・ジャックを直結するなど試行錯誤を繰り返した。ところが障害は回復せず,両記者ともADSLモデム付属のマニュアルに記載されていたサポート用のメール・アドレスに問い合わせた。

 Yahoo! BBはサポートの受け付け窓口がメールのみ。障害の発生をメールで問い合わせたものの,8月9日現在で返答はない。メールが駄目なら電話で,という手段が現時点では使えない。Yahoo! BBは有償のコール・センターを設立するとしていたが,「開始時期は検討中。正式サービス開始前後に設置する予定」(ヤフー広報)だという。今回,あらためて電話サポートのありがたみを実感するとともに,本サービス開始後のサポート体制に不安を感じた。原因が分かり次第,nikkeibyte.comまたは本誌で続報したい。(高橋 秀和)